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扉が締まりそうになった僅かな隙間に自分の頭を突っ込み、ギリギリと扉をこじ開けようとする。
「見つけましたよォ……天木恋香さぁ~ん」
ギロリと下から覗き上げ、ほくそ笑む。ただでさえ顔色悪い&目つきが悪いで好印象を与えにくい面だというのに。
「ヒィ!! さ、さっきの変体!!」
「変体とは失礼ですね!! 私は十六夜という――」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさーい!」
辞典チョップの嵐。
「臭い! キモイ! 死ね!」
罵詈雑言の弾幕。まあ、天木ちゃんが十六夜君をエレベーターに入れたがらない理由が――臭いです。
さっきまでゴミ箱の中にいたのですから、そりゃあ臭い訳ですよ。
「痛い痛いふごっ!? ちょっ、痛い! あ、白パン見えた」
「きゃっ!?」
天木ちゃんは小さな悲鳴を上げ、顔を真っ赤にして後退り。その隙にエレベーターの扉をこじ開け、ぬるりと入ってくる。
「改めまして私、十六夜――」
「こんの馬糞野郎があああああっ!!」
少女の拳は十六夜の頬に直撃した。衝撃は空間を揺るがし、振動し、顔面の原型を崩す……。
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