プロローグ

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「ねぇ聞いた? また首吊り死体が出たんだって!」 「えーまじ!? ここヤバくね?」 最近、ここ桜乃木学園でこんな噂を耳にする。 男女問わず何らかの理由で首を吊る生徒が増え、教師たちも対応に困らされていた。 「…zzz」 しかし、そんな中で堂々と居眠りする生徒もいた。 「竜之介! いい加減に起きなよ! もう一時間目終わったよ!」 いつものように居眠りした竜之介を華夜が起こす光景。 クラスメートからすれば日常茶飯事である。 「またやってる…。 なんかあの二人見てるとこんな状況でも緊張感薄れるわ…。」 「確かに…。」 ガラッ! 突然、誰かが乱暴にドアを開ける。 その音に、クラスにいた生徒全員が反応し、音の発生源を見る。 「ねっ…ねぇあれ結城先輩じゃない?」 「本当だ。 どうしたのかしら。」 結城美保。 桜乃木高校三年生で、ホラー研究会の部長。 「誰かに用があるのかしら?」 「まさか高峰?」 「そんな訳無いでしょー。」 他の生徒の反応等気にもとめず、美保は竜之介の机の前まで歩み寄る。 「久しぶりね…。 高峰竜之介君。」 「……zzz」 「あの…。 竜之介は寝てるので…。」 「そんなの見れば分かるわ。 私は彼に用があるのよ。」 「でも竜之介は…。」 「彼は私の勧誘を蹴ったわ。」 「ホラー研究会に竜之介を?」 「えぇ。 彼はこの高校の七不思議に認定されているから。」 「りゅっ…竜之介が七不思議に!?」 「彼は謎だらけよ。 運動神経抜群で、体育は何をやらせても人並み以上。 にも関わらず運動部無所属。 更に推理小説オタクなのにミステリー研究会無所属。 それだけじゃないわ…。 最近になってもう一つ謎が出来た。 彼は授業中もいつも寝てるのに実際事件を解決するほどの頭脳を持っている。 彼は異常よ。 全て理屈を無視してるわ。 こんなの才能の無駄遣いじゃない!」 「いや…それはただ単に竜之介がめんどくさがりやなだけなんじゃ…。」 「部外者は黙ってなさい!」 「ぶっ…部外者…!?」 「高峰竜之介君。 私からあなたに挑戦状を出すわ。」
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