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顔は痛々しいが、イズミの機嫌がいいので、加奈子は今日ならいけるかもと思った。
「今日は駅まで一緒に行けないかしら」
「そうだな。今日は駅まで一緒に行くか」
加奈子のお願いに、イズミは上機嫌で承諾した。
イズミの返事を聞いた加奈子達は、「ワーッ」と湧いた。
イズミも「アッハッハッ」と高笑いした。
五人で盛り上がりながら校門を出ると樋口がいた。
楽しい気分がぶち壊しだ。
「今日は何だよ」
「一緒に帰ってくれませんか」
昨日別れた時とはうって変わって、樋口は暗い表情だ。
加奈子は自慢げに、「残念ね。今日は私達と帰るのよ」と樋口に言った。
樋口を交える気はさらさらない。
「まあまあ。君達とはまた今度帰ろう」
「えー!何で?」
悲鳴のように、四人に叫ばれた。
「次回埋め合わせするから。今日はごめん」
イズミに頼まれ、加奈子達は渋々先に帰って行った。
「邪魔してすみません」樋口は謝った。
「話があるんだろ?」
イズミは何か言いたげな樋口に水を向けた。
「分かりますか?」
「顔に書いてある」
樋口は何も言わなかった。
二人は黙って商店街を歩いた。
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