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愛知セリはコンビニエンスストアの雑誌コーナーで、漫画の立ち読みをする振りをしながら外を見ていた。
目的はこの時間に通る少年を見るためだ。
そろそろ来るだろうと思いながら暫く見ていると案の定やって来た。
ランドセルを背負っているが、身体は小学生にしては大きい。
友達と歩いていることもあるが、今日は一人のようだ。
セリは漫画を元の棚に戻すと、店から出て一定の距離をとりながら少年の後を追った。
大東イズミはいつものように学校から帰宅すると、ランドセルを置くために二階に上がった。
四年生の弟のタイセイは六年生のイズミより少し早く帰ってくるので、すでに一階の居間でテレビゲームを始めている。
両親は共働きで夜まで帰って来ない。
母が帰ってくるまでいつも二人で留守番をしつつ遊んでいるのだが、今日は少し違った。
イズミが自室に入ると同時に誰かが玄関の呼び鈴を鳴らしたのだ。
イズミは二階に上がったばかりで面倒だったが、弟が応対しても何の役にも立たないのはわかっているから自分が行かなければならない。
あわてて一階に下りて行き、玄関ドアを開けた。
いつも母からはドアを開ける時は、まずはチェーンを掛けたまま開けて、慎重に相手を確認しなさいと言われていた。
しかしこの日はゲームのことで頭が一杯だったので、早く用事を済ませようと思わず玄関ドアをそのまま開けてしまった。
外に立っていたのは見たことの無い女の子だった。
「こんにちは。あたし、愛知セリっていうの。一緒に遊ばない?」
少し無理をして作った笑顔を見せた。
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