第一章 小学校編

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イズミは困った。 たった今初めて見た知らない女の子。 セーラー服を着ている。つまり中学生。年上だ。 そのために思わず出た言葉が、「何で?」だったのは、仕方の無いことだと思う。 イズミの周りには中学生などいなかったので、一緒に何をして遊ぶのかもよくわからなかった。 そもそもこの中学生が自分と遊びたいという理由がわからない。 「街で見かけて」セリはボソッと喋った。 「街で見かけて、君を好きになったから一緒に遊びたい。ただそれだけ。ダメ?」 イズミはまたまた吃驚した。中学生が小学生を好きになって、わざわざ家に訪ねてくるのか? セリはイズミの戸惑いを見透かしたように照れた顔になり、「ダメかな?」ともう一度小声で言った。 イズミはモテる。幼稚園からずっと女の子にはモテている。女の子から愛を告白されることは日常茶飯事だ。 そんなイズミもさすがに今回は驚いたが、基本的に女の子には優しくするように心がけている。 「じゃあ一緒に遊ぼう」 セリを家に入れた。 居間にいたタイセイがいつの間にか様子を見に来ていた。 玄関に続く廊下の奥で、部屋から顔を半分覗かせて二人の様子を窺(うかが)っている。 「どうしたの?誰?」心配そうな声を出した。
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