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イズミは困った。
たった今初めて見た知らない女の子。
セーラー服を着ている。つまり中学生。年上だ。
そのために思わず出た言葉が、「何で?」だったのは、仕方の無いことだと思う。
イズミの周りには中学生などいなかったので、一緒に何をして遊ぶのかもよくわからなかった。
そもそもこの中学生が自分と遊びたいという理由がわからない。
「街で見かけて」セリはボソッと喋った。
「街で見かけて、君を好きになったから一緒に遊びたい。ただそれだけ。ダメ?」
イズミはまたまた吃驚した。中学生が小学生を好きになって、わざわざ家に訪ねてくるのか?
セリはイズミの戸惑いを見透かしたように照れた顔になり、「ダメかな?」ともう一度小声で言った。
イズミはモテる。幼稚園からずっと女の子にはモテている。女の子から愛を告白されることは日常茶飯事だ。
そんなイズミもさすがに今回は驚いたが、基本的に女の子には優しくするように心がけている。
「じゃあ一緒に遊ぼう」
セリを家に入れた。
居間にいたタイセイがいつの間にか様子を見に来ていた。
玄関に続く廊下の奥で、部屋から顔を半分覗かせて二人の様子を窺(うかが)っている。
「どうしたの?誰?」心配そうな声を出した。
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