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イズミは十四歳でたくさんの悩みを背負っているセリがかわいそうでならなかった。
今日のこの告白をするまで、どんな気持ちでいたのか。
どんな慰めの言葉を出しても陳腐な台詞にしか聞こえないだろう。
イズミは黙ってセリの言葉を受け止めることしかできない。
「あたしのお父さんは・・・いえ、もういいわ。こんな話はこれで終わり」そういうとセリは俯いた。
そして「私は汚い」と泣きながら言った。
「それってどういうこと?」
イズミは意味が分からなかった。ただ、お風呂に入っていないのかと思っただけだ。
「汚らわしいってこと。触りたくない気持ちになった?」
「そんなことない」
イズミは優しくセリの体を抱きしめた。
セリにもイズミの気持ちが伝わったのか、両手をイズミの体にまわし、二人はベッドの上で抱きしめあった。
セリの帰る時間になったので二人で家の外に出た。
もうあたりは暗い。こんなに暗いのにタイセイはどこへ遊びに行ったのか、ちっとも帰ってこない。
イズミはセリを駅まで送った。
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