十三夜月の章

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  「…一体何を教わっている」 「え?世の中のいろいろな事を習ってるよ」 「…女庭訓は」 「じょていきん?何それ」 「………」 眼を閉じてゆっくりと息を吐き出す。 言ってやりたいことが喉を突き破って出て来そうだったが、俺はそれを押し止めた。 …時代が変わったのだ。 ならば俺がそれをとやかく言う道理はない。 目を開ければ少女が不思議そうな顔で俺を見ていた。 くりくりとした真ん丸の目が俺の全てを見逃さまいと射抜く。 「…何に夢中になっても良いが、少しは作法を学べ。最低限の常識は身につけろ」 「えぇー…」 「作法は身を守る。女なら尚更にな」 当たり前のことを言えば、少女は目を瞬いてから笑う。 「身を守るって、どこに危険があるの。だって私はわらしとずっと一緒にいるのに」 その言葉に僅かに眉間に力を入れた。 …俺に関わってしまえばもう離れられん。 少女はこの歳でもうそれを覚悟しているのか。 「…ならば、俺にもう少しましな茶を淹れられるよう努力しろ」 「そうだね」 笑いながら、少女は何かを思い付いたように手を叩いた。 「そうだ!わらしがお茶の淹れ方を教えてよ!」 「は………?」  
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