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「わらしだって、退屈でしょ?こんな…」
そこまで言うと、少女は口を噤んで俯いた。
俺の状況の事を気にしているらしい。
「俺が此処にこうしているのは自分の意思だ。お前が気に病む必要は無い」
俺がそう言えば、少女は悲しそうな顔を上げた。
何故そんな顔をするのか、俺には到底わからない。
「…何の話しが聞きたいんだ」
「えっ…」
「食い終わるまでだ」
意味を理解したのか、少女の顔がみるみる明るくなっていく。
「ありがとう、わらし」
にこにこと笑う少女をじっと観察した。
人間とは、面白い程表現が変わる。
俺も人の形を成しているが、そこまで人間に近付く事は出来ない。
『化け物』
頭の中で、少女とは違う女の声が聞こえた気がした。
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