431人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
「さぁ、面倒なことになる前にずらかるぞ」
『秘薬』と称した液体を売りさばくと、醜い男は俺の腕を取ってその場を後にした。
ひなびた神社の裏手に座り込むと、醜い男は包まれた握り飯を寄越した。
「いただきます」
「おう。ご苦労だったな」
飯も食わずに稼いだ銭を数え出す。
「ヒャハッ!今夜は遊廓にいけるぜ!お手柄だな、おめぇ。これもやるから食え」
稼ぎに気を良くした醜い男は、もうひとつの握り飯も寄越した。
「いただきます」
「しっかしおめぇ、不思議な躯してんなぁ。気味悪ぃ。まぁ稼がしてもらってるから悪いこたぁねえけどな!」
醜い男は強い力で俺の背を叩いて唾を飛ばしながら大笑いした。
そんな生活をしているうちに、醜い男は馬の背から落ち、死んだ。
最初のコメントを投稿しよう!