新月の章

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  「さぁ、面倒なことになる前にずらかるぞ」 『秘薬』と称した液体を売りさばくと、醜い男は俺の腕を取ってその場を後にした。 ひなびた神社の裏手に座り込むと、醜い男は包まれた握り飯を寄越した。 「いただきます」 「おう。ご苦労だったな」 飯も食わずに稼いだ銭を数え出す。 「ヒャハッ!今夜は遊廓にいけるぜ!お手柄だな、おめぇ。これもやるから食え」 稼ぎに気を良くした醜い男は、もうひとつの握り飯も寄越した。 「いただきます」 「しっかしおめぇ、不思議な躯してんなぁ。気味悪ぃ。まぁ稼がしてもらってるから悪いこたぁねえけどな!」 醜い男は強い力で俺の背を叩いて唾を飛ばしながら大笑いした。 そんな生活をしているうちに、醜い男は馬の背から落ち、死んだ。  
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