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「…終わり?」
肩までの髪を揺らしながら、少女は物足りなげに首を傾げた。
「死んだらそこで話は終わりだろう」
「ふうん。まぁいいや!次も何か話してね」
「…は?」
片付いた膳を二つ重ねると少女は俺を見て笑った。
「…また此処で飯を食う気か」
「だってわらしの話、楽しいんだもん」
「楽しい?…面白くも何ともない話だったろう」
そう言うのに、少女は笑いながら席を立った。
「もっと色んな話を聞かせてよ。思い出した順でいいから。
じゃあ、またね」
襖が閉まるといつもの静寂に包まれる。
…なんておこがましい奴だ。
また昔話をしてやらねばならんとは面倒くさい。
欠伸をひとつしてから横になると、先程思い出した醜い男の顔が再び浮かんだ。
…何で死んだんだっけな。
ああ、そうだ。
俺をどっかの金持ちに売ったからだ。
「喋ると疲れるな…」
もうひとつ欠伸をすると、ゆっくり瞼を下ろした。
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