序章

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  この容姿ならば、伝手(ツテ)さえあれば良い暮らしも出来るだろうに。 まだ明るい刻だったが、薄い布団に身を寄せ合いながら、童子の頭を愛おしそうに撫でた。 「…名前は●●にしようか」 「うん」 「●●…許しておくれ……。一緒に死んでくれないか。…養うと言っても、うちにはもう何もないんだよ」 風が強く吹き込み、ガタガタと家が揺れた。 目に入るのは粉雪だ。 「何もないと、死ぬの?」 「死ぬよ」 「何があれば死なないの?」 「お前は面白いことを聞く子だね。今までどうやって暮らしてたんだい。…そうだね、まずは食べ物かね」 女は呆れながらも、童子にお伽話でもするかのように優しく語り掛けた。 「後は、暖をとるための炭」 「食べ物と、炭?それがあれば生きていけるの?」 「生き延びる事が出来る、と言ったところかね。生き延びると生きていく、では大きく意味合いが違うからねぇ…」 ほぅ、と女が溜め息をつけば、薄暗い部屋に白い息が上がった。  
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