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――何故俺は、人と関わろうとする?
食わずとも関わらずとも、独りで生きていけるのに、何故。
宿の為に?
暇潰しの為に?
…何の為に?
今もこうして座敷に居座っているのは、何の為だ…?
仰向けに寝そべったまま、腕組みをしながら天井を見上げても答えは出ん。
「……感情」
肩までの髪の少女が言った言葉が口から漏れる。
常盤色の着物の男と共にいた時の感情に名を付けるとすれば…
…わからん。
そもそも俺に感情など…。
そう思って考えるのを止めようとしたが、腹の中にもやもやとしたものが溜まって気分が悪い。
常盤色の背中を思い出した途端に込み上げてきたこれは、あの頃腹の中にあった熱と同じもののような気がする。
これが何かの感情だと言うのなら、知っておきたい。
人の気配を感じ、ほどなくして襖が開く。
顔を覗かせたのは、肩までの髪の少女の代わりに来る男だ。
不便はないかと聞きながら、俺の前に膳を置いた。
「おい」
さっさと去ろうとする背中を呼び止めると、男は訝しげに振り向く。
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