かごめかごめ。

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「大人になりたくないから。 それがあなたの望みだったから」 あたしの望み……。 この子は何を知ってるの……。 「あたしは……大人になりたくなかった……」 大人何て汚い生き物だと思っていた。 それはきっとあたしが『愛される事』を知らなかったから……。 「そう。 大人になる自分に反抗するかのように、ゆうはゆう自身に完璧を求めた。 仮面をかぶる事で快楽を得た……。 大人達から認められ、愛されたいと思った。 でもね、もうそんな寂しい事しなくていいのよ……」 ゆうは手に渾身の力を込めた。 その瞬間、あたしは勢いよく吐血した。 「うっ……」 あたしの低いうめき声と共にゆうはあたしの胸から心臓を取り出した。 取り出された心臓はドクンドクンと脈を打っている。 心臓を取り出されたのにあたしの意識はまだうっすらとあった……。 口からはさっき吐いた血がタラリと流れているのを感じた。 「ゆうはいつも誰かを求めていた。 貴女の化身となった今も求めている……」 あたしの心臓を見つめながらゆうは言う。 「…………」 あたしの寂しさがゆうを生み出したの……? そんな……。 あぁ、もうダメ……。 何も見えない……。 「かごめかごめ……。 ふふふ……」 どさりとゆうはあたしの体を地面にたたき付けた。 遠退く意識の中、ゆうの歌声と甲高い微笑みだけがあたしの頭の中でこだましていた。
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