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「まぁ、いいけど……」
冷静を装いあたしは返事をする。
子供相手にムキになるなんて大人げなかったわ……。
「かごめかごめ~」
あたしの気持ちなんかお構いなしにゆうはあたしの周りをグルグルと回る。
「後ろの正面誰?」
ピタリとあたしの背後に止まり、ゆうは尋ねた。
「ゆうちゃん」
あたしは当たり前に答える。
だってここにはあたしとゆうしかいないんだもの。
「ブー。
不正解」
悪戯っぽく笑いながらゆうは言う。
「え?」
ゆうの意外な答えにあたしはア然とする。
「ゆうは『ゆう』って名前じゃないから」
はめられた……。
恐らくゆうってのは『あたし』とか『僕』みたいなもんで、本名は違うんだ。
何て子なの。
あたしはまんまと食わせられたって事?
信じられない。
何て可愛いげのない子供なの。
人をからかうなんてどうかしてるわ。
「……名前何て言うの?」
沸々と沸き起こる怒りを押さえながら、あたしはゆうに尋ねる。
こうなったら、とことんギャフンと言わせてやるんだから。
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