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「思い出した?
友達のいなかったゆうはこの公園でよく『かごめかごめ』をして知らない人と遊んでいたよね?」
ゆうは笑いながらあたしに言う。
だけど、目は笑っていない。
冷ややかな瞳は一体何を見つめているの……?
……怖い……。
「確かにそうだけど……」
ゆうの言う通りだ。
友達のいなかったあたしは毎日この公園で知らない人と遊んでいた。
いや……。
無理矢理遊ばせていた。
まるで……。
自分の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように……。
「そしてゆうと同じ手口で人をからかっていた。
人の気持ちを踏みにじっていた。
こうする事で優越感に浸っていた。
悪い子ね……」
思い出したくない、あたしが今まで封印していた記憶の蓋が開けられていく。
開けてはならない記憶の箱……。
ゆなはあたしの『パンドラの箱』を開けようとしている。
「アンタに何がわかるのよ……」
確かにあたしは人の心を弄び、満足していた。
無知な人間は友達のいなかったあたしの恰好の『遊び道具』だった。
「正解したからゆうとお友達よね?」
じわりじわりとゆうはあたしに近付いて来る。
「自分と友達になるなんておかしいわよ!」
反射的にあたしは後退りをする。
この期に及んでまだ『友達』なんて……。
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