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青年は満足そうに微笑むと、艶と呼んだ少女を抱きかかえて御簾の外へと出た。
「そなたを拾ったのも、ちょうど三ヶ月前のこんな日だったな……」
艶を横抱きにしたまま月へと目を向ける。
「三ヶ月前は、片手で抱けるほどの赤子だったのに」
そう呟いて、手の中の少女に視線を向ければ、立派な女性へと成長した美しい姫がそこには居る。
見る見るうちに成長した身体だが、身体機能がそれに追いつくことが出来ずに、手足は赤子のまま身体を支えることができない。
そして、まだ立つことも儘ならない身体がここにはある。
言葉もまだまだ片言で、姿以外は赤子も同然のようだ。
この不思議な姫を、見つけたのは、三月ほど前になるか。
泣き声に誘われるようにして、裏山にある竹林に足を踏み入れた時のことだった。
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