艶という姫

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木には花が咲き、枝では夜鳥達が鳴いている。 夜空には流れる雲、宙に蝶が舞っている。 その様子を御簾の内から一人の少女がぼんやりと眺めていた。 纏う着物は美しい小袖袴に白と桃を基調とした幾重にも重ねられた単と袿。 羽織られるのは真っ赤な小袿。 段々に切り揃えられた黒髪は畳に流れ扇状に広がり、覗く肌は何も塗ってはいないのに白磁の様に白く滑らかだ。 姿こそ十二、三の少女のものなのに、漂う気配は女の様に妖艶で見る者を魅了する。 不意に少女の前に影が現れ視界を遮った。
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