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2020年6月9日 11:52
太平洋沖
その日の天候は快晴、夏でもないのに日差しが強かった。
穏やかな海を切り裂くように進む1隻の航空母艦「うんりゅう」
俺こと矢吹幸一(ヤブキコウイチ)は「うんりゅう」の甲板にいた。
俺は戦闘機パイロットであり、飛行長だが歳は17歳だ。
俺は横須賀の士官学校に通う思春期真っ盛りの男だが、士官学校には残念ながら女子が少ない!!
少ないというかいないとして解釈してくれ。
「よぉ。暑いな相棒。」
俺の後ろからいかにも運動してますよ。って体が出来ている男が現れた。
こいつは、同じ隊の俺の僚機であり親友でもある植田雄作(ウエダユウサク)だ。
まあこいつを簡単に言えば運動馬鹿だ。
雄作は俺の隣にやって来て、ガムを口に放り込んだ。
「幸一…。作戦聞いたか?」
雄作はガムの包み紙をいじりながら、俺に聞いてきた。
「ああ。敵艦隊への総攻撃だろ?」
敵軍が攻めてきて、早5年…。
開戦1ヶ月で九州・中国地方は陥落。その後アメリカ海兵隊との共同作戦を実施し中国地方の解放。あとは九州地方を残すのみだ。
今回は日向灘沖にいる敵空母艦隊を壊滅させるために出撃した。
「ったく…敵の情報も少ないもんだよな…。」
雄作が腰に手を置き空を見上げながら悪態を付く。
俺も雄作に倣い空を見上げる。
空は青く太陽の日差しが目に当たり眩しくて反射的に手をかざす。
この青く美しい空が今から血みどろの戦場へと変わると思うと血の気が引く。
「俺は中国とロシア、北朝鮮辺りだと思うんだがな…。」
俺は雄作に俺の考えを打ち明けた。
敵の装備・戦術からして中国ロシア辺りが怪しい。
噂じゃ交戦中傍受した通信でハングル語を陸上自衛隊が聞いたという。
「おっ!俺と同意見!俺もあの辺りが怪しいと思ってたんだよな」
うんうんと雄作は再確認するかのように頷きながら話す。
「ま、戦うしかないんだけどな…。」
だが、俺達は知らなかった
この時人間以外の物と戦うことになるということを…
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