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アジトから出て行く麦野。
その背中を残るアイテムのメンバーが見つめていた。
バタンという音とともに扉が閉まり、麦野の背中が見えなくなったと同時に、茶髪のショートカットにニットのワンピースの小柄な少女が口を開いた。
「最近、麦野超おかしくないですか?」
彼女の名前は絹旗最愛。アイテムの構成員にしてレベル4の「窒素装甲」を操る大能力者だ。
「う~ん。そうだな、俺も最近殴られねぇし」
絹旗の声に答えたのはアイテムの雑用の無能力者、浜面仕上だ。
「むぎの…」
ぼんやりと眠そうな瞳で未だに麦野が出て行った扉を見つめているのは滝壺理后。肩につく程度の黒髪にピンクのジャージがトレードマークだ。
「結局あれは恋する乙女の雰囲気って訳よ」
元気に手を挙げて発言した、金髪で西洋系の少女はフレンダである。
その各々が感じているのは麦野の異変だ。
仕事中もどこか上の空。
ファミレスでの集まりのときも一人だけ会話に混じろうとしない。
ドリンクバーも、自分の分は自分で取りに行っている。それまでは浜面に取りに行かせていたのに。
フレンダのセクハラにも、以前であれば原子崩しの電子線を浴びせていたのだが、ここ最近は怒るどころか無反応。
疑問を抱くのも無理はなかった。
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