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「恋…ですか、あの麦野が恋っていうのはちょっと…」 「そうだよなぁ…。麦野って男に興味なさそうだもんなぁ」 「そんなことないって!麦野だって女の子だもん!恋だってする訳よ!」 フレンダが「麦野、恋する乙女説」を提唱するが、浜面、絹旗は麦野が恋をしているなんて想像出来ないようで、うーんと首を捻っている。 「上手く言葉にできないけど、最近の麦野の雰囲気は女の子のソレな訳よ。それに何か美容にも気を遣ってるみたいだし」 「麦野が美容やらファッションに超気をつかっているのは昔からじゃないですか」 「にしても最近はそれ以上って訳よ!」 それからも必死に熱弁するフレンダだが、2人はどうしても理解出来ないようだ。 まぁ麦野を知るものならば当然かもしれない。 浮いた話など一つも聞かないし、ファッションに気をつかっているといってもそれは自己満足のオナニーのようなものだと本人も言っていた。 ガールズトークの恋バナなんて麦野には似合わないし、何より麦野が好意を向ける程に親密になれる男なんてそうそういないだろう。 何しろあの麦野だ。 圧倒的な原子崩しの能力に加え、乱暴な態度に言葉遣い。 近づきたいと思う男なんていないだろう。 浜面は麦野の恐怖を思い出しブルッと身震いをした。 しかし、それでもフレンダには分かるのだ。 物憂げに悩んでいるときの麦野の横顔。 あれは絶対に恋をしている少女の顔だと。 それは他の人が見ればただ悩んでいるだけの横顔に見えただろう。 だが、愛する麦野のこと。 フレンダにだけは分かったのだ。
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