1999年[夏の13歳]

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「今日も腹を減らして一匹の蜘蛛が♪」 中学二年の暑い夏。 私は五時間目の国語の授業をサボり、渡り廊下でひとり歌を歌っていた。 槙原敬之の『ハングリー スパイダー』 ひと通り歌い終わり、次は何を歌おうかと考えていると、 「もう一回その歌、歌ってや!」 振り返ると同じクラスのマリが、笑いながら立っていた。 話しかけられた事にビックリする私。 でも正直とても嬉しかった。 だって私、女友達ひとりも居なかったから…。 私に話しかける女の子なんて、この学校にはひとりたりとも居ないのに…。 この日からマリと私の毎日が始まるのである。
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