1将 篭城(ろうじょう)

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 父重元が戦から戻り、重治の報告を受ける。  この時重元は心の中で跡目を決めた。  重治には、天賦(テンプ)の才がある。  重元は、長年培った武将としての人を見る目がある。  重治は、猛将としての体力は、無いが『天才軍師』としての大器がある。 「これからもわしが留守のときには、己の才覚で菩提山城を守り通すのだ」  自分を認めてくれた父の言葉がうれしい。 『承知しました』  静かだが、はっきりした声で答えた。  その声は、爽やかで自信に満ちていた。  驕りは無い。  冷静に自分の力を評価している。  その後何度も、父の留守を狙い正体不明の野武士の軍が菩提山城を攻めて来た。  しかし、その都度重治の奇策により撃退されていた。
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