1将 篭城(ろうじょう)

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 重治率いる竹中の兵力は、僅か100人。 「敵兵1千、我が軍前方一里先を直進中」 牙の報告にも重治は、動じない。 『十面埋伏(ジュウメンマイフク)の陣』  織田軍の進路を予測して、両端に兵を伏せる。  やがて、織田軍は、竹中の兵に気付かずに通過する。  『攻撃開始』重治の号令で織田軍の背後から攻撃をかける。  慌てふためく織田軍の隊列は、崩れそこを残りの九面から竹中軍が攻撃を仕掛ける。  奇策は、見事成功して意表をつかれた織田軍は、混乱状態となり無秩序に退却して行く。  重治の脳細胞には、無限の戦略が渦巻いていた。 『我が軍略に死角無し』  勝利に心が沸き立つことはあっても表情に出すことは無かった。  冷徹なる眼差しと冷静な雰囲気、その姿勢は、山々を駆け抜ける風の如く爽やかに見えた。
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