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再び織田氏は、美濃に進軍してきた。
重治は、竹中の兵を引き連れ出陣する。
数倍の織田軍に対して重治は、
『我が軍に地の利有り。
我が采配に従えば必ず勝てる!』
竹中の兵を励ます。
重治の編み出した『十面埋伏の陣』を応用した伏兵戦法で、敵の進行方向を読み経路上の両端にそれぞれ弓部隊を伏せる。
やがて織田軍の通過した後、後方から矢を一斉に放つ。
敵部隊は混乱して動揺する。
残りの九面から矢を放ち、弓部隊は入れ代わり第二射が放たれる。
それを繰り返すことで敵は、無限の矢が絶えず放たれる恐怖を植え付けられた。
散々取り乱して敗走して行く。
『敵は退却した。我が軍の勝利である。
追う必要は無い!』
重治の沈着冷静な声に味方の歓声が上がる。
『我が軍略は無限なり』
重治は、わずかな兵力で、数倍もの織田軍に勝利した。
敵軍に知将が居ようと負ける気がしなかった。
高揚感は有るが驕りがあるわけではない。
冷静に分析して自身の戦略の効果を実践で感じていた。
織田軍がたとえどんな戦略で何度攻めて来ようとそれを打ち破る自信と戦略が我の頭の中に有る。
『無欲無敵』の『天才軍師』に死角は、無かった...。
勝利しても驕りや思い上がりが無く冷静な分析が出来るところに重治の強さがあった。
それは、全ての欲望を断ち切ることが出来る者に許された『神の采配』であった...。
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