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美濃の主城稲葉山城は、難攻不落であり、天然の要塞は、織田氏の攻撃に何度も堪えて来た。
その稲葉山城に現国主龍興が居た。
前国主に信頼され家老職にあった安藤守就と娘婿の重治は疎まれている。
特に重治は、病弱であり小柄で細身で愚鈍を装っていたこともあり、主従から馬鹿にされ嫌がらせを受けていた。
「半人前の半兵衛殿」
いつものように龍興の側近に声を掛けられた。
重治は、会釈をして表情一つ変えることは無く通りすぎる。
「腰の刀は飾りでござるか」後ろから声が聞こえた。
重治は、相手にせず冷静に無言で帰路に着く。
ばかにした笑い声が響いていた。
嫌がらせは、次第に度を越していった。
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