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稲葉山城攻略前夜重治は、阿古に全てを明かした。
『我は、今まで、愚鈍を演じてきた。
だが明日その瞬間から、演じることを止める。
全力で、稲葉山城を落とす。』
阿古は、驚いたがすぐに全てを理解した。
『これは、自ら稲葉山城主となる為ではない。
あくまでも、主龍興様と側近を諌め良攻を行って貰う為である』
「本気なのですね。
ご武運をお祈りしています。
必ず無事に戻って来て下さい!」
阿古は、わずかな竹中の手勢で難攻不落の稲葉山城が落ちるのかは疑問であった。
しかし重治が本気なのは理解できた。
ただひたすら成功を信じて祈るしかない。
たとえどのような事態になろうとも、夫の無事を待つしかない。
覚悟は出来ていた。
雲ひとつない静かな夜であった。
二人の頭上に満天の星が煌めいていた。
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