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井ノ口にある金華山およそ338メートルの頂上にに築かれた稲葉山城は、険阻であった。
攻めるのは、至難の技ゆえ『難攻不落』であり、三方の崖に守られた要塞であった。
織田軍が、何度も攻めたがその都度、撃退されていた。
織田軍に限らずたとえ万の兵で攻めようとも、簡単に、落ちるような城では無かった。
重治は、鎖帷子を着込み長持ちに武具を隠し10人の家臣を引き連れ登城する。
「これは、竹中殿本日は、いかがなされた?」
門番が重治に気付き声をかける。
『弟久作が急病と聞き、見舞いに駆け付けました』
重治は、普段と変わらない小さな、透き通る声で返した。
久作が、病気との噂は、城内に広まっている。
また、重治の擬態で「半人前の半兵衛」と皆から馬鹿にされていることもあり誰も怪しまず、すんなりと久作の寝所に向かうことが出来た。
寝所に入ると重治は、素早く具足に身を固め、辺りを警戒しながら家臣に己の策略の詳細を語りだす...。
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