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重治と斎藤飛騨守には、多少の因縁があった。
二人は、同じ師の元で、槍術を習っていた。
飛騨守は、免許皆伝の腕前。
一方、小柄な重治は、槍術が、不得手であり、持久力も無かった。
やがて、飛騨守は、現国主龍興に気に入られ腹心となり、毎月6日間の城内警護を行う60人の責任者である守番頭を任されていた。
一方重治は、亡き父の遺言により竹中の家督を継ぎ菩提山城主となり、美濃国主である斎藤氏に属していた。
龍興が酒に溺れ、政を疎かにした為、舅守就と共に龍興を諌め、それが原因で疎まれていた。
主龍興の振る舞いは、従たる飛騨守らにも伝わり、嫌がらせが、始まった。
嫌がらせにも顔色一つ変えず耐える重治。
限度を超えた嫌がらせが、一つのきっかけとなり、主従への仕置きを重治に決意させた。
決行は、飛騨守が確実に守番頭を勤める日を選んでいた。
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