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「婿殿、本気か?」
守就は、諦めきれない。
織田氏の破格の申し入れを断り、守就の後ろ盾で調略を進め勢力を広げることも拒絶した。
国主龍興に稲葉山城を返還するにしても、条件無しで帰すとは考えてもいなかった。
それに見合った領地を要求することも可能なはずであった。
しかしながら、重治は、一族の安全を守る為、自ら責任をとり家督を久作に譲り隠居すると決意していた。
話がまとまると重治は、淡々と準備に取り掛かる。
まず稲葉山城を塵ひとつ無いように清掃させる。
次に菩提山城への撤収の準備に掛かる。
その行動は一貫性があり、ぶれることは無かった。
冷徹なる眼差しに冷静な態度その姿は、欲にまみれた世界とは無縁で爽やかであった。
そのような重治を見つめ守就は、
「やはり『無欲無敵』の『天才軍師』は常人とは、行動が掛け離れている。
凡人には、とても真似出来ない...。」
守就は、ある意味、清々しささえ感じていた...。
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