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この男が、全てにおいて完璧であったわけではない。
強靭な武将としての体格を持ち合わせては、いない。
背は、低く力も弱い。
槍を自由自在に振り回すことができない。
病弱で体力が無い。
信義を重んじ、心根が優しく、人を危めることが嫌いであった。
立身出世に興味がなく無欲。
武将であれば己の剣で、武勲をたて、一国一城の主となることを夢みるだろう。
だがこの男にはそれらの思考は全くない。
戦においてこれらは、致命的な弱点。
武将としては、半人前、半兵衛と呼ばれた。
しかしながら、兵法を好み、文献を読みあさり、純粋に自らの兵法を極めることに命を懸ける。
100年にもわたる戦乱の世を終らせたいと本気で考えていた。
ゆえに、平成の世なら兵法の研究家。
竹中流兵法学の開祖となり多くの文献を残したに違いない。
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