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それから数日経った、ある日。
俺は薄汚い裏通りの路地でかがみ込んでいる、あの『天使』を見つけた。
なにやら道路に投げ捨てられたゴミを拾っては片付けているようだが、無防備な天使を前に、これは奴を捕獲出来るというまたとないチャンスだと、俺は舌なめずりをした。
俺は息を殺して、後からそっと近付いていく。
こんなに近付いてはさすがにバレると思ったが、どうやら天使はゴミ拾いに夢中になっているようだ。
しめた! とばかりに、俺は素早くその小さな手をつかみ上げた。
しかし天使は、不思議な力でぱっと消えてしまう事もなく、ましてや背中に羽根もない。
その手も、力を少し込めれば今にも潰れそうな、ただの普通の子供の手だった。
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