彼の選択

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一般病棟から緩和病棟へ 転棟前の入浴介助 彼はタオルを顔に押し当て ただ静かに泣いていた 「部屋をかえてどうなる?もう、死ぬのを待つだけ!」と かたくなに転棟を拒んでいた彼 声を掛けても文句か強がりばかり 彼の虚勢が崩れ行くのをみた でも、彼は折れたのではない 死を告げられてもなお、彼は選択した ベッドに横たわり、動かせぬ体を見つめ よりそう家族を見つめ、深く考え選択した タオルをとり、きゅっと口を真一文字に結んだ後 「あがるよ」と私達を促す 泣かない覚悟も決めたように
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