夏祭り

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 川原に並んだ、出店。ずらっとならんだちょうちん。毎年のことだが、祭りはかなり混んでいた。しかも、今日は、花火大会もあるのだ。 「はぐれんなよ」 「わかってる」  二人、並んで、出店をのぞく。唯の手には、さっきおれが取ってやった、紅い小さな金魚が入った袋が下がっている。 「迷子になってもしんねーぞ」  「もう!いつの話よぅ」  唯が、おれの腕をやわらかく、こづく。  まだ、親父が生きてたころ、おれとゆいの家族で、この夏祭りにきた。そのとき、はしゃぎすぎた唯は、一人でどんどん行ってしまい、迷子になったのだ。  あの時、唯が祭り会場のはずれにある、神社の境内でひざをかかえて泣いているのを見つけたのは、おれだった。そう言えばあの時も、ほんのりピンクのゆかたを着ていた。 「そろそろ、花火、始まるんじゃない?」 「そうだな。その前に、唯、なんか飲むもん、いるか?」 「うーんと、そしたらね、ラムネが飲みたいな」 「はいよ、お姫さま。したら、ちょっとここで待ってろ、買ってくるから!」  唯を待たせて、おれはラムネを二本買ってくる。  唯のとこに戻るのと、 「よう!陽!!」 と、声をかけられるのは、ほとんど同時だった。
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