3415人が本棚に入れています
本棚に追加
目は、ぱっちりと二重。「目は口ほどにものを言う」なんて言葉があるけど、唯の目はまさにそれだ。そして、さらりとくせのない髪が、肩より少し下まで伸びている。
「あの頃は、もう少し長かったよな…」
ふと、親父が死んだ頃を思い出して、そんなことが口から出た。
「ん?なんか言ったぁ?」唯が、チャリンコをこぎながら、振り返った。
「いや、唯、髪切ったのか?」
唯は、きょとんとした顔をして、
「ううん?切ってないよ。どしたの、急に?」
「あ、いや、悪い。なんでもないわ。ちょっと昔のこと思い出してさ」
あわてて、とりつくろったような返事をしたおれに、唯はふっとほほえんだ。
最初のコメントを投稿しよう!