プロローグ

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初めて先輩と合ったのは友達、呉羽 蛍子、爽獄 麗と一緒に廊下を歩いているときだった。 二人が話しているのを聞き流しながら教室へと向かう途中だった。 「昨日ね、テレビ見てたら……」 蛍子が話すのはいつもテレビの話。 格好いいアナウンサーがいたとか、歌が上手い歌手がいたとか。 それに麗が食いついたり、突っ込んだり。 私は無口で無表情らしい。 ただ何を言えばいいか、どんな顔をすればいいか分からないだけなのに。 「邁、聞いてる?」 ふと、声をかけられたが「蛍子うるさい」と麗が蛍子を殴ったので痛そうだと思った時だった。 近くで歩いていた先輩に蛍子が当たってしまった。 「ごめんなさい!!」 「すいません!!」 二人が言ったが、その先輩は何も言わずに、表情も変えずに歩いて行った。 「格好いいあれ誰だっけ?」 「ひとつ上の轟先輩だよ。無口、無表情らしいよ!」 「邁とキャラかぶるね」 「感想はそこか…」 ごちゃごちゃうるさい2人を置いて教室へ向かう。 それが私、神沢 邁と飃藤 轟の出会いだった。
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