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火が十分に通ったことを確認してからナイフで半分に切り、ワン太に渡した。
「目玉焼き美味しいかい」
ワン太はワンと言い嬉しそうに尻尾を振った。
栄養を補給し英気を養い、ジャングルをひたすすんでいると、だんだんと辺りが暗くなって来た。この星にも夜はあるようだ。私はこのジャングルで一夜を過ごすことにした。
木々の間に、しなやかで堅い枝々を渡し樹皮で作った紐で地面から、高さ一メートルの位置に結びつけ寝床の土台を作った。
これでは寝心地が悪いのでその上に敷くクッションの役割を果たす物を探した。
ワン太と一緒に何かないか探していると、かさが1メートルはあろうかという巨大なキノコを発見した。
そのキノコの、かさを見てみると、かさの上にすき間なく、びっしりと黒い髪の毛の様なものが芝生の様に生えていた。
私はその髪の毛の様な物体を恐る恐る触ってみた。
すると、その物体は水分の無くなった植物の様に力なく〈ふにゃ〉としおれた。
しかし、触り心地はまるでシルクのような滑らかさだった。
私とワン太はその髪の様な物体を持って帰り、寝床にびっしりと配置しベッド作りは終わった。
そして私とワン太は、添い寝をして次の朝を迎えた。
朝起きると、ワン太に異変が起きていた。
ワン太の顔色がとても悪い。しかも、体中から血が出ていて血が体毛にべっとりとくっ付き固まっている。
「大丈夫か、ワン太」私はワン太に呼びかけ、ワン太を撫でようとした時、異変に気づいた。
私の手からも、大量の血が流れ出ている。
私は、手だけじゃなく、腕や足や顔も触ったり、鏡を使い確かめた。
私の全身は針で刺されたように無数の小さな穴があり、そこから血が流れ出ていた。
手に昨日寝た時に敷いた髪の毛の様な物体が付いていたので、それを払おうとした時その物体が微かに動いたように見えた。
「こいつ、生き物か?」
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