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本能のままに歩き続けて、もうどれくらい経ったのだろうか。
疲れも感じないし、裸足にも関わらず、こんなゴツゴツした地面を歩いても痛みもない。
僕はハッキリと覚えているし、認識しているんだ。ここが“死後の世界”だって事を。
だって僕は。ここに来る前に、自分の部屋でタオルをドアノブにかけて、そしてその出来た輪の中に自分の首を――
苦しかった。痛かった。僕の全体重が首にかかって。でも……薄れゆく意識な中で、ホッとした。
自らの命を絶つ者は、地獄に落ちるって話を聞いた事がある。けど、僕は死後の地獄より、よっぽど学校の方が地獄だった。
あそこにもう行かなくて済むと思うと。今は晴れ晴れした気分だ。
死んでみんなを呪ってやるとか、行きたくないって言っても無理やり学校に行かせる親を道連れにしてやるとか考えた事もあった。
けど、そんな事を考えて怒りを常に心の中に携えている事にも疲れた。
一刻も早く、ここに来たかった。
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