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女の子は後ろめたく感じて、足音を立てないように裏庭へと足を運びました。
裏庭は、お屋敷の外から見ても高い塀に囲まれて見えないので謎になっていたのです。
女の子は扉に手をかけました。
鍵はかかっていません。
女の子は重たい扉に体を押し付け開きました。
目の前には
沢山の
沢山の
黒い薔薇
「……ッ!?」
女の子は声にならない程驚き、何とも言葉にし難い恐怖に襲われました。
その理由のひとつは異臭。
鉄が錆びたような、この臭い。
女の子は口を抑えました。
(何なの…この薔薇)
薄々は解っていました。
でも気付きたくありませんでした。
よく見ると黒い薔薇ではなく、赤黒い薔薇の割合が多い様です。
真っ赤な薔薇。
赤黒い薔薇。
真っ黒な薔薇。
お水?
いいえ、
新鮮な キレイな血。
女の子は黒い薔薇達を見回します。
そして一際黒い薔薇を見つけます。
深い深い黒い色の薔薇。
一番血を沢山
吸いとっている薔薇――
女の子は可笑しな恐怖に震えながらも必死に足を動かし、その場から離れようとします。
扉を閉める時、女の子は薔薇から目を離しませんでした。
見ていない間に
その鋭い棘で自分を
襲ってきそうだったから
自分の血を求め…
女の子は急いで少女の居る所へ足を運んで行きました。
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