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女の子は黒い薔薇の事は少女には黙っている事にしました。
不気味な少女の不気味な薔薇達。
あの黒い薔薇が怖くて怖くて泣き出してしまいそうな程に、女の子は心底震え上がっていたのです。
赤い薔薇?
いいえ、赤かった黒い薔薇―――…
ある日いつも通りお屋敷へ足を運んだ女の子はあるものを見つけます。
「小鳥…?」
お庭には小さなカゴに入れられた青い鳥と赤い鳥が、薔薇達に囲まれてカゴと共に風に揺られていました。
女の子は思いました。
―――薔薇達が小鳥の血を…
女の子は咄嗟に歪んだ想像を頭から追い出しました。
しかし、何度見ても女の子には恐ろしい光景に見えてなりません。
薔薇達は
カゴに入れられ
見せしめにされた 小鳥に血を求める。
どこを見回しても恐ろしい
薔薇達。
唐突に誰かに肩を掴まれました。
「ひゃ…ッ!?」
小鳥と薔薇達を見て歪な考えを繰り返し頭に描いていた女の子は驚いて、とてつもなく心臓が跳ね上がりました。
"誰"と言っても一人しか居ないのですが…。
そう、薔薇達が生きて、その鋭い棘で襲ってこない限りは…。
「びっくりしたぁ…」
少女は軽く詫びると、女の子の視線の先にある鳥カゴに目線を向けます。
「あの小鳥はどうしたの?」
女の子は少し、荒い息をしながら聞きました。
どうやらあの小鳥達は少女のお庭に迷いこんだ様なのです。
真っ赤な薔薇が生い茂る庭に…。
女の子が小鳥達に視線を送っていると、唐突に少女が言いました。
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