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――小さなカゴの小さな死。
――青い鳥が言いました。
――「私は一生カゴの中の鳥」
――赤い鳥が言いました。
――「私は最後まで抗って見せる」
――自分の命を諦めた青い鳥は言いました。
――「早く私を解放して」
――まだ諦めていない赤い鳥が言いました。
――「私は精一杯生き抜いて見せる。
自分の命を諦めた愚かな貴方には解らない」
少女はまるで独り言の様に淡々と言い放ちました。
女の子はと言うと、少女に好奇の目を向けています。
「ねぇ、続きは…!?すごい気になるっ!」
少女は相変わらず口だけを"笑顔"にして言いました。
結末はこのカゴの中の鳥が
決める事なのよ
それからも女の子は薔薇達だけでなく、小鳥達の世話も進んでやろうとしました。
少女はなにも言いません。
ただ女の子に静かに礼を述べるだけです。
女の子は最初はその小さなお礼の言葉が嬉しくて、お屋敷へ来ては少女のお手伝いをしました。
今は違います。
薔薇達が、少女が、
怖くて怖くて怖くて……。
自分の異変に気付いて襲ってくるんじゃないか、
自分の血を求めてくるんではないか。
今の自分はいつも通りにしている事だけに努める。
自分の心の奥底の恐怖に気付かれてはいけない。
小鳥達も…いつ襲われるか解らないのだからあたしが守らなきゃ。
そう思っていたのです。
真実の扉はいつ開く?
赤い薔薇達は何を知っているのか
そして少女は一体……。
女の子は今日もお屋敷へと複雑な心境で足を運んでいくのでした。
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