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プラプラと
適当に館内を歩き回る
様々な題名の絵画や像をじっくりとは言わないが、一回一回足を止めて見て回る
『……。』
なぜダリアがこの美術館に来ているのか
話は数時間前にさかのぼる
『で?そのゲルテナがどうしたの?』
「友達が招待券くれたんだけど、あたし今日用事が出来ちゃって、行けなくなったんだよ」
『じゃあなんで私に行かせようとするのよ…』
「その友達が、感想聞かせてね!って…」
『…。私にどうだったか見てこいってわけ…
…ん?ちょっと待って。
これくれた子はどうなのよ?』
「彼氏とデート」
『…………。』
『…まったく、誰も彼も…暇だからって何でも押しつけりゃいいってもんじゃないわよ…』
何度目になるか分からないため息をついて、階段を降りる
道が開けると目の前には、部屋の中央の床に穴をあけたような、巨大なものがあった
覗きこんでみると、まさに闇
深海の底があるような錯覚に陥ってしまいそうな
そんな芸術品だった
『…深海の世…名前の通りだわ…』
闇の中に浮かぶ、蛇ともつかない不気味な生き物の絵に寒気を覚え
ダリアは足早にその場を去った
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