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首を傾げて微笑む君は、妻の癖を真似ているのか。……それとも、君は……。
「七海(ななみ)」
「また。いつかきっと、逢えるから」
名前を思い出した私に歩み寄り、顔を覗き込んで、手を握り励ますように言ってくれる。
七海……、君は、君なのか?
あの光は、妻なのか?
愛している。愛している。私はきっと、いや絶対生きて、君とまた出逢うよ。約束する。いつかきっと……。
しっかり握りしめて瞳をとじる。溢れる涙を拭う時間すら惜しくて、意識を失う寸前に、はっきりと言った。
「七海……、愛している」
「私もよ。愛する貴方」
微かにだが、確かにそう聞こえた気がして、最後に力強く頷いた――。
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