第二章・―想い―

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 目が覚めた。薄暗い天井に視点を定め息を吐く。  横を見ると薄い敷居代わりのカーテン、リノリウムの床、誰かの寝息。  ――病院か。  哀しい夢を見ていた気がする。  目を擦ろうとすると、頬に残る涙の跡に手が濡れる。夢を見ながら泣いていたのかと、ゆっくり起き上がりベッドに座り込むと、ずきりと痛む手首。  何故だか生まれた時からある痣。手首を真一文字に切り捨てたような、一見すると自殺の跡のような、かなり目立つし迷惑な痣が痛むんだ。  夢の内容は覚えていない。だが、決まってその後目覚めると、手首が「思い出せ」とでも言う風に痛む。  自殺した覚えなんてないのに、不思議なもんだ。
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