19人が本棚に入れています
本棚に追加
どうして応えただけでこんな嬉しそうなんだ? そう思っていると、彼女が更に意外な問いかけをしてきた。
「あの……。声が聞こえるように、そっちに座っても良いですか?」
これには少し迷う。
彼女と話したのも、声を聞いたのも初めてで、今夜は不思議な時間でも流れているのかと、だけどやはり、その魅力に負けて素直に頷く。
静かに移動する彼女。やがて隣に座ると、微かにベッドのスプリングが軋む。
「初めまして。私、七海(ななみ)っていうの」
「初めまして。俺は、螢(ほたる)」
「変わった名前」
彼女がくすくす笑う。自己紹介するといつもこうだ。慣れているし、彼女が笑っても、不思議と不快な思いにはならない。
最初のコメントを投稿しよう!