第二章・―想い―

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 案の定、彼女は俺の話を馬鹿にする事もせず、一生懸命といった感じで聞いてくれていた。  ゆらゆら、ゆらり。ホタルの光が、太ももで揺らめく。  全部話終えた時には何故だか涙が止まらなくて、彼女が引き寄せるままに、二人肩を合わせて寄り添った。  肩越しに伝わる温もり。安堵を覚えて瞳をとじる。  ……知ってる。  俺、この暖かい感触を知ってる。  どこかで、なんてもんじゃない。絶対に、俺には彼女と出逢った記憶はないけど、だけど確かに、自身が体験した事のある温もりだ。  何故だろう。  瞳をひらくと彼女を見詰める。睫毛の長い横顔。儚げで、色白で、左目下のホクロがチャーミングな印象を持つ。
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