第二章・―想い―

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 そうだ。俺が思い出さなければいけないのは、きっと“この事”なんだ。  生まれ変わりとか、普通ならにわかに信じがたい考えでも、彼女と俺に当てはめるなら不思議とすんなり納得出来る。  いつも見ているのに、いつも忘れてしまう夢。  思い出さなければいけないのに思い出せなくて、ずっともどかしい気持ちをもて余していたのに、彼女の言葉をきっかけに、霞が晴れるように溢れ出してきた。  だから彼女だったんだ。  彼女でないといけなかったんだ。  彼女以外に、代わりなんて要らないから――。 「信じるよ」  華奢な身体が微かに震えている。  馬鹿にされると思ったんだろうか。俺は絶対、彼女を馬鹿になんてしない。
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