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里には賑やかで和やかで、心暖まるような声が飛び交っているのに、ヒトの気配はまるでしない。
代わりに在るのは、そこここを舞い踊る螢の光。
ばらばらに飛ぶ螢。列を成し何処かへ去る螢。立派な店構えの軒先に並ぶ螢……。
まるで螢達が、ヒトに成り代わりヒトたらんとする生活を成し得ているようだ。
そうして木造の、昔ながらの建家が並ぶ里に懐かしいものを感じ見惚れていると、またしても美女が笑いかけてきた。
「気に入った?」
視線を寄越す。だけど分からない。確かに綺麗な場所ではあるが、私という存在は、ここでは場違いな気がして居心地が悪い。
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