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首を傾げる私を見て、美女は哀しげな笑みを浮かべる。
「やっぱり……。居心地が悪い、か」
彼女には私の心が読めるのだろうか。不思議な感覚ではあるが、その事実はすんなりと受け入れられて、妙に納得出来る。
ゆらり、ゆらゆら、ゆらゆら、ゆらり、螢が光る。螢が、揺れる。
「ねぇ。どうしてここにきたの?」
覚えていない。目が覚めると、もうここにいた。帰る方法も理解らない。
だけどここには、長く留まってはいけない気がする。
さして広くもない里の中に、相変わらずの、だけど静かに煩くない程度の声が響く。
誰だ?
話しているのは、誰だ?
私か?
いいや。
違う。
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