屋上女

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「そうよ! ただ肉体があるかないかの違いであたし達は友達よ!」 あたしの目から涙が出てくる。 色んな事を考えてたらでてきちゃった。 「理奈ちゃん……」 屋上女さんがあたしを真っすぐに見る。 「あたし達せっかく出会えたのよ! 友達にならないなんてもったいないじゃない!」 あたしは……。 屋上女さんとお友達になりたいと思った。 私情を挟んじゃいけない。 そう自分に言い聞かせ、幽霊さん達には必要最小限にしか接していなかった。 だけど……。 屋上女さんには何か惹かれるものがあるのよね。 「うん!」 屋上女さんはあたしの言葉に頷いた。 「あたし、ここに毎日遊びにくる! 卒業してもOGとしてずっとずっと!」 幽霊さんのお友達。 いいじゃない。 あたし後悔してないよ、自分が言った事。 「うん!」 またもや、屋上女さんは頷く。 頷いてばかりだけど、何か嬉しいな。 「約束だよ! えっと……」 あ、あたしのバカ。 名前聞いてなかったし。 「私あけみ! うん! 約束だよ!」 あたしの言いたい事を察し、屋上女さん……いや、あけみちゃんは名前を教えてくれた。 「うん! あけみちゃん!」 あたしがあけみちゃんの手をつなごうとした瞬間あの目映い光が現れた。 ーー ありがとう……。 理奈ちゃん………。 ーー そう言ってあけみちゃんは光の中に消えていった。
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