屋上女

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「地縛霊……」 今まで出会った地縛霊さんはこの屋上女さんとは違って冷たい目をしていた。 でも屋上女さんは優しい目をしている。 「そうよ。 あなたは……理奈ちゃんは私を助けてくれた」 屋上女さんは満面の笑みで言った。 「あたしが?」 あたしが助けた? そんな記憶ないんだけどなぁ。 「みんなが興味本意で私を呼び出そうとしてたのを阻止してくれたじゃない!」 嬉しそうに屋上女さんは言う。 「阻止って……。 みんな興味なさげだったわよ?」 あたしは不思議に思って言った。 「大体みんなが私の話する時はそうなの。 でも必ずと言っていい程、一人・二人は来て茶化してくのよ……」 悲しそうな屋上女さんの瞳を見てあたしはハッとして言った。 「じゃあ、あなたはあたし達の思いが強くて成仏出来ないって事?」 思いが強いと縛り付けるらしいしね。 「ううん。 違う……」 屋上女さんは首を横にふった。 「私、たった二週間だったけどここの生徒だったの。 入学式の日、こっそり抜け出してここの屋上に来て目の前に広がる山々に惚れちゃったの」 目を細め屋上女さんはぐるりと周りを見た。
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